序
「いやっ……! 亮二さん、もうだめ、こんなこと……!」
女の艶かしい声に、思わず全身がぶるりと震えた。
脳みそまで痺れてしまいそうなその甘い声を聞きながら、亮二はわざとらしく音を立てて女の陰部を撫で上げる。くちゅくちゅという水音に、女はさらに頬を赤く染めた。
「はは、いやらしい体。……なあ、瑠璃さん。あんた、喜一の前でもいつもこんないやらしい声で喘いでたんだろ? ずるいなあ、俺にももっと聞かせろよ」
亮二が言うと、瑠璃は強く唇を噛んだ。しかし、ぬかるんだ膣を指で掻き回せば、その唇は緩みすぐにまた甘い喘ぎが漏れてくる。そのことにこの上なく興奮を覚えた亮二は、瑠璃の濡れた唇に噛み付くように荒々しい口づけを落とした。
「ん、んんぅっ……! っはぁ、いや、亮二さん、ひどい……っ」
「ひどい? ははっ、違うでしょうよ。その台詞は、あんたをひとり残して勝手におっ死んだ、喜一の野郎に言ってやれよ」
鼻を鳴らしてそう言うと、瑠璃は今にも泣きそうな顔をしてまた唇を噛んだ。気丈な瑠璃がよく見せる顔だ。
ひどい、ひどいと亮二を詰りながらも、瑠璃の体は抵抗する素振りを見せない。それどころか、亮二がわざと押し付けた男根を見やってごくりと喉を鳴らす始末だ。
――いやらしい女。
ぼそりと呟けば、いよいよ瑠璃の丸っこい目から涙が流れて落ちる。違う、と首を振る瑠璃をそっと抱きしめて、つややかな黒髪に顔をうずめ、思いきり彼女の匂いを吸い込んだ。
「――なあ。あんたの愛しい愛しい旦那は、もういねえんだからさ。こんなときくらい、俺に抱かれてくれよ」
ずぶりと、無様に昂った陰茎で女の隘路を割り開いていく。切ない喘ぎに身を震わせながら、亮二は瑠璃の裸体を力強く抱きすくめた。
もう、誰にもやらない。
俺の見知らぬどこぞの男にも、この家に群がる汚い人間にも。
――そして、先の戦争で死んでいった、実の兄である喜一にも。
硬く張り詰めた男根の先で瑠璃の最奥をなぶりながら、亮二はこの甘い情事に溺れていく。
瑠璃の瞳からあふれる涙さえ己の熱を上げるものでしかなく、部屋の中は濃い蜜の匂いで満ちていくようだった。
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