17人が本棚に入れています
本棚に追加
『解熱剤屋』オープンします
アタシはピーナ。
オレンジ色の身体に虹色の尾羽を持つ、妖精界の妖鳥。
大きさはこの世界の鳩くらいかしらね。
アタシのご主人様は、熱を冷ますお薬『解熱剤』を売るお店をしているの。
え?そんなもの、ドラッグストアに行けば売っている?
ピッピッ、違う違う。
熱と言っても体温の熱じゃなくて、推しや依存の『心の熱』の方。
依頼者や本人とのカウンセリング、私が収集する情報から解熱剤を処方するのがご主人様の仕事なわけ。
ご本人の意志だけではどうしても制御できないその熱を、一時的に下げることが出来るの。解熱効果が続いている間に自分の行動を見つめなおすことで、過剰な熱は自分にも周りにも良くない影響を及ぼすって気づかせて改善するのがお店の目的。
家族からの依頼が多いけど、基本的に本人の同意が必要。
もちろんその後のケアは家族の協力が重要よ。
絶対に二度と熱が上がらない処方もあるけど、それは周りの人や本人の人生を崩しかねないような緊急の時だけ。その人の人格を殺してしまう恐れがあるからね。
まぁ説明するより実際に見てもらった方が早いわね。
ビルが立ち並ぶ街にひっそりと建っている、レンガ造りにツタがはう小さなお店。
アタシはドアの内側にかけられた札をくちばしでクルッと回転させ『OPEN』の文字を外側に向けた。
あら、いけない。鍵も開けなきゃね。
足でポンッと蹴り上げ、鍵を開ける。
さあ、『解熱剤屋』オープンよ。今日はどんなお客様が来るのかしら。

最初のコメントを投稿しよう!