愛している、だからこそ

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「当店の解熱剤は忘却の度合いを調整できるのでその辺りはご安心を。ほんの少し、想いに(もや)がかかる程度にしましょう」  ご主人様の返答と笑顔に安堵する女子高生。 「薬、なのですか?記憶を操作されて脳へのダメージとかありませんか?他にも副作用が困るのですが……」と先生。 「いえ。正直にお話しますとお飲みいただく粉は、とあるサボテン種から採取した糖分です。甘いだけで人体に影響はございません。しかし、もしここでのカウンセリングに嘘があった場合、少し困った事態になることもあります」  ご主人様は詳しい説明をしなかった。この先はとてもじゃなく信じては貰えない話だから。  効果があるのは摂取する糖分ではなく、一緒に服用する精霊さんの働き。  精霊さんの好物がそのサボテンの糖分で、『心の熱』を集めてもらうの。  糖分と一緒に体内に侵入し熱を回収、その熱を妖精界のとある場所に送り込むことで解熱する仕組みなの。 「困った事態、とは?」前のめり気味に先生は聞く。 「そうですね……。過去には2カ月間ほど『嘘が付けない口』になったという方がみえました。いえ、私がクライアントの嘘を見抜けなかったせいでもあるのですが」  そう、もしここで患者が嘘をついていて該当する『心の熱』が見当たらなかったら精霊さんは次に『嘘』を回収しようとするの。つこうと思った嘘が瞬間的に回収されてしまうから、本音しか話せなくなるとか。  あら。ご主人様の話を聞いてか、少し先生の顔色が青ざめてる。  アタシは「ピッ、ピッ」と鳴いてみせた。  ご主人様は「わかってるよ」と言うようにアタシに目配せした。

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