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プロローグ
目の前に小人が二人いる。絶体絶命のピンチに瀕していた私の前に、突如現れたのだ。
彼らは使い古された漢和辞典の上にちょこんと乗って、私の方をじっと見ている。
「俺は“解”。その名の通り、解の漢字の化身にして、漢人界きってのクール解だ!」
ビッと親指を立てながらそう名乗ったのは、額に一角獣のような角がある男の小人。牛柄の着物を小粋に着崩し、腰には刀を下げている。
「わたしは“明”。同じく明の漢字の化身よ」
ひまわりのように鮮やかな黄金色のワンピース。その裾をちょんと持ち上げながらお辞儀したのは、可愛らしい女の子の小人だ。金髪のサイドテールに太陽と月を象った髪飾りが添えられている。
「か……漢字の……化身?」
私は数日前、理想的な夫と理想の結婚をしたはずだった。
幸せの絶頂にいたはずなのに、今、恐怖と混沌の波状攻撃によりMajiでPaniくる5秒前である。
なぜこんなことになってしまったのか?
発端は今朝、夫の恭介が仕事へ出かけた後のことだった――
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