集い
◆集い
その翌日、私と吉田先生は、仙田さんたちに氷室アサミが保健室に来たことを話した。
氷室アサミが、吉田先生のかつての友人の恵理子さんを自殺に追い込んだこと。のぞみちゃんに対して殺人に近いことをしたこと。それら全てを話した。 行きがかり上、速水さんたちにも話した。
皆の怒りは言うまでもない。
特に仙田さんに至っては、可愛い孫が殺されたも同然なのだ。氷室院長に体をいたぶられた上、その妻に自殺させられたのだ。
本当は仙田さんにだけは話したくはなかった。余りに酷い現実だからだ。
たった一人の孫を見知らぬ男にレイプされ、その果てに、自殺をさせられたのだ。いや、自殺ではない。あれは殺人だ。弱っていたのぞみちゃんを氷室アサミが突き落としたのだ。
私と同じく吉田先生もそう思っていたらしく、
「もうこれ以上、仙田さんを悲しませたくない」と言っていた。
けれど、真実は隠し通せるものではない。私たちは仙田さんの家に出向き、話すことにした。
仙田さんの家は田本さんのアパートと似通っていた。町の商店街の近所にある二棟のアパートの南側の二階だった。
二棟のアパートの間には、小さな公園があり、ささやかな砂場やブランコ、そして滑り台があった。そこで、のぞみちゃんは小さかった頃、よく遊んでいた、と仙田さんは懐かしむように語った。
そんな話を聞いた後に氷室アサミの話をするのは辛かったが、話さない訳にはいかない。
仙田さんは私たちの話を聞き終えると、泣くのを堪えるような声で、「話してくれて、ありがとう。ありがとう」と何度も繰り返し言った。
そして、「のぞみ・・何にも出来ないじいちゃんでごめんなぁ」と、のぞみちゃんの遺影に向かって言った。
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