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ある男の物語
「ねぇねぇ! 見てよ! こんな虫がいたよ!」
ジョナサンは目を輝かせて、大きな虫を見せつけてきた。
「おお、すごいな。裏山にいたのか?」
「そう! 一緒に行こうよ! きっとまだいっぱいいるよ!」
キラキラした瞳を向けられ、俺は苦笑した。
「お前はまだ若いから、山で遊んでも平気だろうが、俺はもう年寄りだ。この庭でひなたぼっこするだけで、じゅうぶん満足さ」
ジョナサンがぷうと頬を膨らませた。
「グレイは年寄りじゃないよ! カッコイイよ!」
「ほう?」
「ほら、この傷だって、戦ってきた証拠でしょ?」
ジョナサンは憧れの眼差しを向け、目の横の傷を撫でた。
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