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それから数日後、ジョナサンの姿がみえなくなった。
挨拶もなしで、消えるだろうか……?
俺は不安にかられた。
ジョナサンの姿を探して裏山にも入ったし、痛む足で町も練り歩いた。だが、ジョナサンを見つけることはできなかった。
やっぱり行ってしまったんだろう。きっと別れを告げるのが悲しくて、ジョナサンは黙ってこの町を離れたに違いない。
俺はそう思い直し、再び庭へ戻った。
いつもの場所へ座り目を閉じる。
ずっとこのまま平穏に。それが幸せだと思っていた。だが、ジョナサンのいない日常は空っぽだった。安心できる庭。ふわふわ飛ぶ蝶を眺めても、爽やかな風を感じても心が満たされない。
「……さがすか」
俺はゆっくり立ち上がり、また町を歩いた。
一縷の望みをかけて。
もしかして、ジョナサンを見つけられるかもしれないと信じて。
町の隅々まで歩いたが、ジョナサンには会えなかった。昔の仲間に尋ねたけれど「そんな奴は知らないな」と言われた。
もう日も暮れる。
明日は別の方角を探してみよう……。
足を引きずりながら庭へ入った途端、上から網が降ってきた。
「うわっ!」
もがけばもがくほど、網が絡みつく。俺は全てを悟った。
ジョナサンっ! もしかして、お前も捕まったのか!?
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