特別な感情

1/2
前へ
/29ページ
次へ

特別な感情

 出逢いは、偶然ではなかった。  彼と目が合った瞬間 心臓が焼けつくように跳ねた。 呼吸が浅くなる。 視線を逸らそうとしても、もう遅かった。  彼の瞳に捕らえられ 体温がじわりと上がっていく。  ――これは、危険だ。  そう思えば思うほど、近づいてしまう。  指が触れ合った瞬間 電流のような熱が走った。 ほんの一瞬のはずなのに 全身が震えて止まらない。 彼の指先が私の手の甲をなぞる。 掠れるようなその動きに、心臓は早鐘を打った。 「……君は、罪深い」  低く囁く声。その響きが胸の奥を揺らす。  拒めばいいのに、できなかった。  彼が近づけば近づくほど 狂おしいほどに求めてしまう。  唇が触れ合ったとき、世界は静寂に包まれた。  柔らかいのに、熱い。 触れるだけで全身が燃えるようだった。 彼は私を抱き寄せ、逃げ場を奪う。 腕の中で息が乱れ、ただ甘い熱に溺れていく。  重なる呼吸、絡む指。  心と身体がひとつになるたび 愛と欲望の境界は溶けていった。  彼の声が耳元に落ちるたび もっと欲しくなる。  何度も、何度でも。  狂おしいほどに――。

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加
広告非表示!エブリスタEXはこちら>>