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「直美さんできたよ」 もう既に直美さんは自分のを終えて待っていた 「じゃあこのアンケートはそこに置いといて あの時計が赤い点を指すまでは自由時間だから」 そう言って部屋の隅に飾ってある時計を指した 時計には何の数字も書いてない ただあるのは普通12がある位置のところに赤い点が一つと赤い針が一本時計まわりに回ってる そういえばこの部屋には窓も扉もない ただあるのは換気扇……時間的なもの、場所的なものを知らせてくれるものが何もない非現実的な所である……まぁ夢だからね 「とりあえず付いて来て」 と、彼女は立ち上がり部屋の横に行った 俺が先程から気になっていた横にズラリと並べられたショーウィンドウケースのところに彼女は立ち止まった すかさず彼女に続く このケースの周りには10人程いて皆真剣な眼差しで中を覗く 中には綺麗に一列に並べられたフィギュアがある 「これがアタシ、で、たぶんこれがてる君のだね」 てる君?馴れ馴れしいが他人である二人の溝を少し縮める暖かい言葉でもあった 彼女の指す方向にあるフィギュアは彼女に何ともそっくりなものではないか その隣にあるのは俺に激似のフィギュア 自分を精巧に映したものを見るのは何とも不気味だ
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