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本棚に追加「トアを残していくのは心配だけど、もうここを出ていかないといけないんだ」
18歳の誕生日を迎えるまでには、施設を出て独り立ちをしないといけない。5歳年上のエルドは、僕が13歳の時に施設を出ていくことになった。
「エルド、たまには施設に遊びにきてね」
「もちろんだ。本当は一緒に連れて行きたいけど、稼ぎが安定するまでは、無理なんだ。わかってくれ」
僕はエルドを本当の兄のように慕っていた。エルドも僕を弟のように思ってくれたんだと思う。だから、一緒に連れて行きたいと言ってくれたんだ。
それからエルドは、本当に頻繁に施設に来てくれた。
そして僕が16歳になったある日のこと、いつものようにエルドが施設にやってきた。
エルドは、僕をギュッと抱きしめ、優しく髪を撫でた。そして、愛おしそうに頬に触れる。
なぜだろう。エルドの指遣いに、今まで感じたことのないような感情が湧き上がる。
「トア、16歳になったから、外泊許可が取れるようになったんだ。週末に、俺の家に来ないか?」
「え?エルドの家に?行っていいの?」
「もう許可は取ってある。このまま出かけるぞ」
よくわからないうちに、僕は支度をしてエルドの用意してあった馬車へ乗った。
それから、毎週末はエルドの家に泊まるのが恒例となった。
エルドの家では一緒にご飯を食べ、一緒にお風呂に入った。
施設で一緒に過ごしていた頃より逞しくなった体に、自然と胸が高鳴る。
そして夜には、当たり前のように一緒のベッドで眠った。
エルドの家に泊まりにいくようになって半年も過ぎた頃には、子どもの時に気づかなかった感情に気づき始めていた。
エルドと一緒にいると、胸が熱くなって、ドキドキして、多幸感に包まれる。
ずっと、家族のいない僕たちにとって、本当の兄であり弟であるような、家族愛だと思っていた。
でも今ならわかる。これは兄に向ける感情ではない。
僕は、エルドを好きなんだ。愛しているんだ。きっとエルドも同じ気持ちなんだと思う。
それから、僕たち二人が気持ちを確かめ合うには、そう時間はかからなかった。
◇
エルドが施設を出てから、5年が過ぎようとしていた。
僕はもうすぐ18歳の誕生日を迎える。
今日もエルドの家に泊まりにいくから、エルドが迎えにきたんだ。
空間魔法で瞬間移動すれば、あっという間なのにってエルドに言ったら、怒られてしまった。
僕だってもう18歳だ。昔は意味のわからなかったことも、今ならちゃんとわかる。
空間魔法を使える人は、かなり限られている。危険と隣り合わせなのもわかっているし、無闇に人前で披露することのリスクもわかっている。
「今日も一泊だけかぁ。でも、僕ももうすぐ施設を出るし、そしたら好きなだけ一緒にいられるね!」
「そう、だな……」
一瞬、エルドが目を逸らしたような気がした。
「エルド?」
「あ、ああ……ごめん。昨日楽しみであまり寝てなくて。はは、子どもみたいだな」
「僕もだよ!眠れなくて今ちょっと眠いんだ」
エルドの表情が翳ったような気がしたのは、きっと気のせいだと思い、楽しい話題に変えることにした。
僕も18歳の誕生日を迎えるタイミングで、この施設を出てエルドと一緒に住む約束をしている。

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