シーソー

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 公園の外周をマラソン中、靴の紐が解けた。  どうせならしっかり結び直そうと、たまたま近くに見えたシーソーに腰を下ろしたのだが、途中でシーソーが跳ね上がった。  誰か反対側に座った?  子供でもいるのかとそちらを見たが誰もいない。  俺しか座っていないシーソー。だけどきっちり水平に釣り合っているシーソー。  すぐにでも逃げ出したいけれど、俺が立ったら向こうが下がって、誰か乗ってたらどこか打ったりしそうだよな。 「あの、もう行きますから…立ちますよ」  とりあえずそう一声発してから立ち、後ろは見ず、一目散にその場を去った。  もう、ここの公園に来ることはないだろう。 シーソー…完

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