邂逅

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     頭がガンガンする。    鈍い熱が後頭部にわだかまっていて、それが頭痛の原因なのだろう。そっと手をやると熱を帯びてはいるが意外と腫れてはいなかった。触ってわかったのだが、うるさく痛むのは頭蓋の中で、頭皮の痛覚は何も訴えてはこない。確か頭の怪我は出血やコブがあった方がいいと聞いた覚えがある。もしかしたら、ちょっとやばいのかもしれない。  手の甲にさらりと、清潔に乾いた布が触れた。  そういえば俺、何で寝てるんだろう。  重い瞼を苦労して持ち上げると、見慣れない天井が目に入った。    否、見覚えはある。    カーテンレールがベッドを囲むように巡り、そこから降りるカーテンで視界は狭く遮られている。ベッドの上からでは辺りの様子はわからない。  だが、遠くに聞こえる喧騒は馴染み深いものだった。 「……保健室?」  頭痛を気にしながら、ゆっくりと上半身を起こす。それだけで眩暈がして吐き気が込み上げて来た。  一体どうして保健室にいるんだっけ。頭痛に関係することはなんとなく見当がつくけど……。  ぐるぐると思考が渦巻く。考えることが億劫だ。上半身は起こしたままで目を閉じた。そうしないと思考の渦で悪酔いしてしまいそうだったからだ。  
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