第76話

3/4
前へ
 /545ページ
次へ
鈴は鈴木龍成の仕事ぶりを十分に理解しているし、鈴木龍成がやるとなれば抜かりはないと思っていた。 けれど、あえて軽くからかってみる。 「自信は?」 鈴木龍成は鼻で息をつきながら、誇らしげに胸を張った。 「安心して。今回の案件、本気で取れる会社なんて、数えるほどしかないし、それに、俺にとって帝都グループで最後のプロジェクトだから、絶対ガッカリさせたりしないから」 その言葉に、鈴はふと足を止めて、振り返る。 「……辞めるって決めたんだ?」 鈴木龍成は軽く頷き、にっこりと笑った。 「たとえ、俺の身体が帝都グループを離れても、心はずっとここにあるから」 「ふふっ、じゃあ──このプロジェクトが、ちゃんと決まったら、盛大にお祝いでもしよう」 「マジで?やった!それ絶対な!」 「うん。いい知らせ、待ってるよ」 鈴の言葉は、鈴木龍成にとってまさに『特効薬』だった。 その高揚感を胸に抱いたまま、定例会が始まった。 ……………… 会議室。 鈴木龍成は堂々と前に立ち、プレゼン資料を使いながら、プロジェクトの概要や予算計画について熱弁をふるう。 その姿は凛々しく、どこか光を放っているようにすら見えた。 会議室にいる面々からも思わず感嘆の声が漏れる。 「──予算報告はすべて整理済みです。会議終了後に桜井社長の承認をいただきたいと思います」 そう言って、鈴木龍成は一度全体を見渡し、最後に鈴に合わせる。 「じゃ、他に何か意見とか提案がありますか?」 一瞬の沈黙の後、周囲からは次ツに肯定の頷きが返ってきた。 「特に問題ないですね。鈴木さん、全体的にすごくよくまとまってると思います」 「予算も想定の範囲内でしたし、明日が楽しみですね」 「期待してますよ。鈴木さん」

最初のコメントを投稿しよう!

10968人が本棚に入れています
本棚に追加
広告非表示!エブリスタEXはこちら>>