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するとその時、彼は背後に立つ人影に手を止めると一瞬にして振り返った。蜘蛛の巣が如く警戒の糸を張り巡らせ、紺青色の双眸を突き刺すように真っすぐとその人影へと向け続けていた。
外からの光のみの薄暗い部屋だったが、そこに立っているのが女性でセミロングの頭上に猫耳を生やし、気の強さを感じる双眸は呆気に取られたように少し見張っているのは微かに見て取れた。そして服装は上は露出の多めで、下は程よく筋肉の付いた脚のラインが分かるパンツの全体的に黒い。
「何者だ?」
微かな動きすら見逃さぬような視線を突き刺しながら男性は低めの声で冷静に尋ねた。
だが女性は答えることは疎か動くことすらなく、ただ固まった視線を向けているだけ。静寂と緊迫が絡み合いながらも自身の状況も未だ把握しきれていない彼は安易には動けずにいた。
するとその沈黙を突如、女性が破った。ハッとしたようにその場で片膝を着き顔を俯かせる彼女。全身で完全服従を表しているようだった。
「お目覚めになられたのですね」
男性は女性を見下ろしなながらも警戒は解かず微かに眉を顰めた。
「――魔王様」
「お前は……」
今の状況を加味しながら魔王の脳裏では大凡の予想が浮かび上がっていた。
「私は、シャドリス・ヴォルティクスです」
そう言うと、女性は掌を上へ向け紫色の魔力で魔王軍の紋様を作り出して見せた。名前と紋様それを作り出す魔力。それらを目にしたことで目の前で跪く見知らぬはずの女性が、魔王軍のナンバー二であり魔王の右腕であるシャドリスだという事を確信した。
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