石像

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 ああ、今週も色々ありすぎて疲れたな。  ただでさえ人手不足なのに、急に一人辞めたせいで思うように仕事が回らない。  必然、残った人数で無理をするから、どうしてもミスが出る。けれど上はそんな現場の事情も知らず、ひたすら小言を垂れ流すばかり。  そんな、身も心も休めない一週間が過ぎて、やっと訪れた休日に、俺が足を向けるのは家の近くの美術館だ。  目玉品とかがある訳じゃないからあまり人は来ない。なので静かだし入館料も安い。  ここに来て、趣のある美術品を見ていると癒される。特にこの、石像が並ぶ部屋は、俺にとって最大の癒しスポットだ。  人の姿をしているけれど、文句を口にする者はいない。俺を咎める者もいない。  ただただ静かに穏やかに存在している。そんな像達の中にいると、日々の慌ただしさが消えていくようだ。  …今、誰もいないし、今日は俺も石像になったつもりで、あそこの座っている像の隣に座り込んでみようかな。 * * *  学芸員の仕事は好きだし、学生時代に専攻したこととは別の職に就くのがたいていのこのご時世に、この美術館に就職できたこと自体が奇跡。そう思うから、毎日、職場に来るのが幸せで仕方がない。  だけど唯一苦手な場所がある。それがこの、石像が並ぶ部屋だ。  ここの空気だけ、何だか他より低いし、部屋も暗い。さらには、知らないうちにちょくちょく石像が増えるから、それらの把握が大変だ。  館長は、まだ名のない作家の品を置いているだけだから、気張って管理はしなくていいというけれど、芸術に関わる者として、ではその通りに…という訳にもいかないだろう。  あ、また一体石像が増えてる。今回は座る男の像か。  気にしなくてもいいと言われてるけど、館長にあれこれ窺わないといけないな。 石像…完

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