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プロローグ
秋の風が、校庭の銀杏並木をさらさらと揺らしていた。
鮮やかな黄色と橙色の葉がひらひら舞い落ちる中で、俺――音根そあらは隣を歩く幼馴染を横目に見ていた。
蒼空秋。
小さい頃からずっと一緒にいて、同じ道を歩いてきた相手。
白い髪に、どこか無邪気さをたたえたオレンジ色の瞳。笑えば周りを明るくしてしまうような、そんな笑顔を持つやつだ。
「ねぇそあら、見て!このシマモンの新しいキーホルダー!」
秋は鞄につけたキャラクターグッズを自慢げに差し出してくる。
俺は小さく息を吐きながらも、その声に耳を傾ける。――昔から、放っておけない性格だ。
モテて、勉強もできて、クールだと周りに言われる俺。
でも、そんな俺が一番目を奪われるのは、他でもない幼馴染の笑顔だった。
――この秋、何かが変わる予感がしていた。
鮮やかな紅葉の色と同じくらい眩しい、あいつの笑顔に惹かれていく自分から、もう目を逸らせそうになかった。

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