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本棚に追加08.大人
修一朗は高校を卒業し、小説を書くのとはまったく関係のない大学に入った。この街からずっと遠くにある大学に。美里も初音も修一朗とは違う大学に進んだ。初音は東京にある大学に進み、美里はこの街でもない東京でもない地方にある街の大学に進んだ。
修一朗は初音とは、お正月やお盆でこの街に帰省し、たまたま顔を合わせたときに、いくつか言葉を交わすくらいの仲らしい。幼馴染だから。けれど気まずいまま、会話は長く続かなかったそうだ。美里はそんな話を風のうわさで聞いた。
美里にしても、高校を卒業してから修一朗と連絡さえとっていない。遠くの大学でなにをしているのか、小説を書いているのか。そんなことをときどき考える。そのたびにすぐに思い直す。
いや、修一朗は小説なんて書いていないだろう。あれは高校時代の夢であり幻。青春のひとコマでしかないから。
そうやって人は大人になっていく。なにかを手放して、なにかを諦めて。

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