浜辺の出会い

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「そうなんだ。叔父は海賊そのものを毛嫌いしているから、父上が恩情をかけていることが理解できないんだろう」  それなら、シャロフ宰相はどうしてわざわざ船の上でルイス王子を手にかけたのか。 「まさか、宰相は王子を亡き者にしようとした罪を海賊に被せようとしてるの?」 「その可能性は高いと思う」 「そんな……!」  海賊がみな、残虐な略奪行為を行っているわけではない。レイラたち〈ゴールドバロン海賊団〉のように、宝は奪っても人の命までは奪わないということを信条としている海賊団だっているのだ。  それなのに。よりにもよって王子に危害を加えた罪を海賊だから被せてしまえばいいなんて卑劣なことこのうえない。身に覚えのない罪で投獄される海賊もたまったものではないだろう。 「……すまない、レイラ。実は、僕もそう……なんだが」 「えっ?」 「海賊というのはみな、荒くれた者たちばかりだと思っていたんだ。だが、レイラは違うようだな。謝らなければならない」  王都で実際の海賊と接点を持たないまま育ったルイスは、〝海賊〟という存在をおとぎ話の中の悪役でしか知らなかったのだろう。それはそれで仕方のないことだとレイラは思った。  レイラが都での暮らしを知らないように、彼もまた海賊という種類の人間がどんなものなのかを知らなかっただけなのだ。 「謝らないで、王子。……確かに、この町で暮らす海賊はみんなどこかに(きず)を抱えたならず者たちだよ。でも、みんなが荒くれ者っていうわけじゃないんだ。中には乱暴なヤツもいるけど……。あたしたち〈ゴールドバロン海賊団〉は人に危害を加えることを良しとしてないんだよ。宝は奪っても命までは奪わない、それがあたしや父さんの信条だからね」 「そうか……。君たちのような海賊もいるんだな。こんな目に遭わなければ、僕も一生知ることがなかったかもしれない」  ルイスが目を細めてそう言った時、階下でドアの開く音がした。 「……あ、父さんが帰ってきたみたい。あたし、ちょっと下に行ってくるわ。王子は気にせずにゆっくり休んでて」 「ああ、すまない」  ベッドに横たわったまま小さく詫びるルイスに微笑みかけて、レイラは(しょく)台のロウソクの灯りを頼りに階下へと下りていく。  玄関へ行くと、父バリーは酔い潰れていて、ドリーに担がれていた。プンと強く酒の匂いがする。 「レイラ、親父さん連れてきてやったぜ。やたら上機嫌でさ、完全に酔っ払っちまってるよ」 「悪いね、ドリー。父さん、重かったでしょ?」 「いや、平気だよ。じゃ、オレは帰るから。――なあレイラ」 「ん?」 「船の上で話したことだけど、……やっぱりいいや。おやすみ」  彼はレイラに夕刻の話を蒸し返そうとしてやめ、自分の家へと帰っていった。

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