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「ヒサシ!また、あんたいつまで何してるの?学校遅れるわよ!?」
何時もの朝が来て、母親の怒声が飛ぶ。
「分かってるよ!今行く!」
ヒサシは市立小学校に通う5年生。
他の子と何ら変わる事のない、ごく普通の元気な男の子である。
今日も、遅刻ギリギリに起き、慌ててパンをかじり、ランドセルを右肩に引っ掛けながら水色のズックをトントンさせながら玄関を駆け出して行く。
「いってきまーす!」
何時もの風景だ。
「今日は2分遅れてるかな…」
「よし!加速装置!」
ヒサシはつぶやくと奥歯を噛み締めた。
当然の事ながらヒサシは普通の子供であるから、加速装置なんてものが付いている訳もないのだが、要は雰囲気の問題でその方が早く走れる気がするのである。
ヒサシは大のヒーロー好きで、昭和40年代にはなかった呼称だがヒーローヲタにかなり近いものがある。
そうこうしているうちに校門が見えてきた。
「やった!チャイム前に突破出来そうだ…」
そして今日もなんとか、加速装置のおかげ(?)で遅刻は免れた。
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