てふてふで会いましょう

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 夜と朝が混じり合う朝五時前。まだ帰りたくない。自宅マンションの近くにある公園のベンチに座り込む。  夏の終わり。朝日が空に染み込み、明るくなってきた空を眺めていたら気が緩む。ぽたりぽたりと涙が落ちてきたから、慌てて手の甲でふく。  アルコールがたっぷり詰まった体は重くて仕方がない。涙がでたからすこし軽くなるかもしれない。そんな言い訳をしながらコンビニで買った缶ビールをバッグから取り出し、ぷしゅりと音をたててリングをひねる。  飲み口からあふれた泡が手の甲を濡らして地面に落ちていく。なにもかもがスマートじゃない。手を振って泡を飛ばし、缶ビールを傾けてごくごく飲む。  泣きながらビールをあおる女。早朝から重たいオーラを撒き散らしているのはわかっている。その証拠に、散歩やランニングをしている人が、私を避けて左右に大きくそれて通り過ぎていく。モーゼの海割りみたいだ。  私は一体なにをやっているんだろう。泣き笑いをしてしまう。 「おはよう」  突然話しかけられてびくりと身体が揺れた。おそるおそる泣き腫らした顔をあげると、しらない男のひと。 「隣、座ってもいい?」  私より十歳以上は年上だろうそのひとは、邪気のない笑顔でそう言った。もしかして私服警察官? いやいや変質者かもしれない。 警戒しながらゆっくり視線を落として、でかでかと独特の字体で『俺だよ』と書かれたTシャツを見て、あっとなった。 「あれ。もしかして、てふてふの?」  その人はにこにこしながら頷いて、私の隣によいしょと腰掛けた。

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