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舞はそう告げると、部屋から出るため俺に背を向けた。
深い艶のある栗色の髪が朝日を反射してきらきらと輝き、その輝きはなんだか泣いているかの様だった。
「早くマスコミからのインタビューに備えたら?
───私先にアメリカに帰るから。
矢継ぎに質問されて墓穴掘って…さらに好感度下げない様にね」
「────…」
舞はそのまま俺の方を振り返ること無く、部屋を出て行った。
耳を澄ませなければ聞こえないほどの音を立てて扉が閉まってから、俺はその場に立ち尽くしていた。
舞は最後まで泣かなかった。
泣こうと思えば泣けたのにそうしなかった。
舞は俺を本当の悪役にすること無く───
自ら悪役となり俺を手放したのだ───
舞が俺のスキャンダルを自ら週刊誌にリークし…自身の父親と俺との間に修復不可能な溝を残したのも───
全ては自分からも自分の父母からもニカラスからも臆病な俺を自由にし───…
俺が律の元に行ける様にする為───…

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