恋というにはあまりにも。

4/7
前へ
/8ページ
次へ
 その日以降、上野は舞と少しずつ会話をするようになった。彼女が大学生であること、コーヒーはブラックが好きだということ、犬よりも猫派だということ……他愛もない会話だったが、不思議とつまらないとは思わなかった。  そんな、ある日。何のことはない、ただ偶然に、見えてしまった。彼女のスマートフォンの待ち受け画面。そこには――― 「俺……?」  思わず声に出てしまい、ハッとする。舞の表情は変わらない。ただジッと黙っていた。 「……もっかい見せてくれる?」 「……」  黙ってスマートフォンの画面を向ける。よくよく見てみると、上野ではなかった。雰囲気は驚くほど似ているが、よく見ると顔はあまり似ていなかった。 「兄です」 「お兄さん?」 (あー……なるほど)  上野は納得がいった。なぜ自分なんかと、ずっと抱いていた疑問。 「お兄さんの代わり?」 「……っ」  舞の瞳が揺れた。こんな動揺を見せたのは、初めてかもしれない。 「いや、別に責めてるとかじゃなくてね。うーん……」  これは極めてセンシティブな問題かもしれない。どうしたものかと言葉を探していると、「ごめんなさい」と小さく舞がこぼした。 「……店閉めた後、話せる? ちょっと待たせちゃうけど」  努めて優しく問いかけると、舞は小さく首を縦に振った。

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加
広告非表示!エブリスタEXはこちら>>