とあるクラスメイト

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 クラスに一人、苦手な奴がいる。いや、苦手というよりは、単に関わりたくないというか何というか…。  そいつの性格が悪いとかでは決してない。むしろそいつ自身はいい奴で、周りには好かれている。  俺も、目の敵にするとかあからさまに無視するとかはしないし、普通のクラスメイトとしての関係性を保っているけれど、あくまでそこまで。仲良くなりたいと思うことはむろん、何かの弾みで関わるとかも避けたいと思っている。  だってなぁ、そいつ、どう見ても人間じゃないんだもん。  もちろん見た目は人間そのもの。行動や発言に不自然な部分はないし、近寄ると異臭がするとか異音が聞こえるとかもない。  それでもアイツは人間じゃないと断言できる。だって、あの日、見てしまったから。  まだ警戒心のかけらもなかった頃、用事で帰宅が遅くなった俺は、違う用事で学校に残っていたそいつと、昇降口で鉢合わせた。  その頃も特に仲がいいという訳ではなかったから、普通ならそのままはいさよならとなったのだが、あいにくその日は昼過ぎから雨が降り出していて、傘を持っていなかった俺は途方に暮れていた。  そうしたら、折り畳みを持っていたそいつが、家まで送ってくれると言ったんだ。  その時は迷いもなくその申し出を受け入れ、家まで送ってもらったのだけれど、俺の家から自宅へ向かうそいつの姿が足元の水たまりに映ったんだ。  そこには、漫画などでしか見たことのないような奇怪な物体が映り込んでいた。  最初は何が映っているのか判らなかったよ。でも、その何かは手に傘を持っていて、クラスメイトと同じ動きで遠ざかって行ったんだ。  あれを見て以来、俺はそいつを生理的に受けつけられなくなった。  何の危害も加えてこないけれど、正体が化け物と判っていて仲良くするとか、俺には無理だ。  ただ、下手なことを口にしてン勝をさらけ出されたら危険すぎるので、卒業まで…いや、卒業しても、俺はそいつの正体はずっと伏せ続けるだろう。 とあるクラスメイト…完

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