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町外れに建っていた古い家。もう長いこと住んでいる人はいないのに、時々中から物音が聞こえたりするという噂があって、町中の人があの家をお化け屋敷と呼んでいた。
気味が悪いから近寄ってはダメ。みんな、子供の頃からそう聞かされて育った。
そのお化け屋敷が、この前ついに取り壊された。
後に何ができるのかとかは知らないけれど、ともかく、薄気味の悪い建物はなくなり、土地は更地になった。
綺麗さっぱりなくなったお化け屋敷。誰もがせいせいしたと口にしたけれど、それ以来、町の様子が少しおかしい。
誰もいない場所で人影を見たり、妙な物音を聞いたり、おかしな気配を感じることも多くなった。
もしかしたらだけど、あの家は、本物のお化け屋敷…おかしなもの達が外に出ないよう、それを閉じ込めておく場所だった?
不気味な建物がなくなった今、町には、あそこから感じていたよりも妖しげな気配が満ちている。
町の人達はみんな妙に顔色が悪くなり、あからさまな体調不良を訴える人が増え、心を病んでしまう人達も出始めた。
だけど、引っ越しを希望しても、何故かそれは叶わず、町の外へ出られるのは、仕事やちょっとした用事で出かける短期間だけ。
この町はどうなるのだろう。そして、ここで暮らす私達はどうなってしまうのだろう。
こんなことなら、不気味でも構わないから、誰も近づかないお化け屋敷がずっと建っていてくれた方がよかった。
お化け屋敷がなくなった…完

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