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俺の『これ』って、ある種の特殊能力かも。
化粧をしている人間の素顔が判る。というか、見える。
薄いとか濃いとかの問題じゃなく、どんな化粧をしていても…そう、例えば歌舞伎役者みたいな厚塗り状態でも、どうしてか、素顔が浮かび上がって見えるんだ。
写真やテレビなどの映像では、ちゃんと化粧をしている状態が見えるのに、直接対面すると見えるのは素顔だけ。
これは相手が男でも女でも関係なくて、ともかく、化粧をしている人間は、俺には対面時は素顔を見せている状態なのだ。
だから、女の子が彼氏とかに向ける、ちょっとしたメイクの変化に気づいて欲しい…みたいな欲求にはまったく応じられなくて、知り合いの女子の間では、メイクの違いとかがまったく判らない鈍感男で通ってる。
俺の方も、元々恋愛に積極的じゃないから、対象外として扱われても特に問題はないし、そう扱われれば扱われるほど、こちらの女の子に対する関心も薄れていった。
でもこの前、あまりにも目か離せない相手と出会ったんだ。
街中で偶然出会った女友達と一緒にいた女の子。なんと、その子の顔には一切のパーツがなかった。
そう、いわゆる『のっぺらぼう』って奴だ。
だけど女友達はそのことにハマるて気づいてなくて、むしろ連れの女の子を『凄く可愛い子でしょ』と褒めていた。
いやはや、メイクで顔立ちが変わるのは、歌舞伎役者の人が舞台と普段で別人みたいになるのを見ているから、理解していたつもりだけど、まさか、何もない土台に、他人が褒めるくらいの顔を作り出すことができるとは。
念のため、スマホのレンズ越しにその子を見たら、本当にかなりの美女だった。
その違いっぷりに、ついついその子を見つめ続けたせいか、『一目惚れ?』と女友達に茶化されたけれど、惚れたかどうかはさておき、別の意味で気になり過ぎる存在となったのは事実だ。
メイクの力で、普通の人間達に溶け込んで生活しているのっぺらぼう。
恋愛かどうかはさておき、俺、生まれて初めて、こんなにも意識を向けることができる女の子と出会ったよ。
素顔…完

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