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仕事から帰ったら、俺が住んでいるアパートの前に引っ越し業者のトラックが停まっていた。
住人同士の交流がないから、空室があるのかどうかも知らない。でも、業者が荷物を運びこんでいるから、誰か越してきたのだろう。
特に気にせず部屋に向かうと、荷物を持った業者が、俺の部屋がある最上階の三階へ上がって行くのが見えた。
三階の部屋は二つ。一つは俺が借りてるから、残りが空き部屋だったのだろう。
我関せずで部屋に入ったのだが、コンビニに寄るのを忘れていたことに気づき、すぐ外へ出た。
その時、隣の部屋に、ちょくちょく見かける人が入って行くのが見えた。
挨拶とかもしないけれど、あの人はここの住人だ。それは知っている。
三階の部屋は両方入居者がいる…だったらどうして引っ越し業者は三階に来たんだ?
不思議に思ったが、すぐに、階を間違えたのだろうと考え、俺はコンビニに向かった。
戻った時、業者のトラックはなくなっていて、どこかの誰かの引っ越しが終わったのだと思った。
でもこの日から、何だか部屋の様子がおかしいんだ。
消して出かけた筈の電気がついていたり、夜中に水音が聞こえたり、時には誰かいるような気配を感じたりもする。
まさかだけれど、誰か、俺の部屋にいるのか? 俺の部屋が、あの日見かけた引っ越し場所だったのか?
ありえないと思う反面で、日々、強く濃くなるその考え。
不本意だが、このまま得体の知れない何かと暮らし続けるよりは、俺の方が別の所へ引っ越した方がいいのかもしれない。
引っ越し…完

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