プロローグ

1/1
前へ
 /29ページ
次へ

プロローグ

ガラッと突然開けた実習室のドア 日も暮れかかった校舎のその場所は、建物の二階の最奥にある 守衛が見回りをする夜間までは誰も来ない。 カーテンが閉じられ薄暗い中で 光莉は、向き合って座る男女をすぐに認めた 女は男の太ももに跨がって、腕を男の首に回している 男は女のスカートの上から臀部を支えていた 「な、なにしてんのよ!!!」 光莉は叫んだ 「うわっ!!お、お前なんでここに!」 動揺した男が、自分の上にいた女を突き飛ばすと、女は後ろにあった角椅子に背中を打ち付け床に落ちた だけど、女は痛いとか悲鳴とか何も発しない 「賢!!どう言うことよ!!」 ツカツカと男のそばまで歩み寄ると 光莉は賢の髪を掴んで身体を叩いた 「いてっ!いてっ!落ち着け、光莉、手を離せ」 目に涙を溜め、今度は倒れこんだままの美思(みこと)の長い髪を鷲掴み乱暴に引っ張りながら、その身体を蹴り飛ばす ブチブチブチ 髪が手に絡まったまま、数十本は抜けた 蹴り飛ばされた勢いで、下着をつけていない臀部が捲れたスカートから露になった。 それでも、美思は一切の言葉を発しない 「……このっ!!」 光莉は歯を食いしばり、荒く息を吐いた。 その視界に捉えた角椅子へ、無意識に手が伸びた 光莉の気迫に震えていた賢だが さすがにそれはヤバいと咄嗟に光莉の身体を押さえると 重みのある角椅子は、光莉の手を離れ 美思の足へ直撃する様に落とされた 足の皮膚は破れ、傷が深かったのか血が溢れる様に流れ落ちるが それでも美思は苦痛の声すらあげず 「帰る」 小さく呟き、平然と立ち上がる 呆気にとられた二人を後にして 実習室から出ていった 「な、なんなのよあの女……化け物なの!?」 「え、あ…美思ちゃ…」言いかけて 自分を睨み付ける光莉の目に気がつくと 顔を伏せ、情けなく少し下ろされた制服のズボンを腰まであげた 「賢ゆるさないから!!もう別れる!!」 「ひっ!あ……うん、ごめ……」 光莉は泣きながら出ていき 後に残された賢も、慌てて鞄を手にするとそこを出ていった ――― 翌日の朝、なに食わぬ顔で登校した美思に 光莉と、いつも一緒にいる女子三人は 美思を睨み付ける 光莉の彼氏を寝取った それが、光莉たちの美思に向ける怒りの起点になっているのは間違いない だけど、当の本人は何事も起こっていないような顔をしていた ただ、美思の足は白い包帯が雑に巻かれていた ――― 「……以上ですけど?」 「……そうですか、ありがとうございました」 男は、話してくれた光莉に封筒を渡す 「え?5万……こんなに?」 「ほんの、お礼ですから」 瞳が薄い茶色で、明らかにハーフ顔の美形の男性に、光莉はペコリと頭を下げて 勤め先の美容院の中へ戻っていった 男はため息をついた 高校時代の話を聞いたが、求めてる答えは半分しか得られなかった スマホを取り出すと、短縮0の番号へ通話を繋げる 「ボス、高校時代の話では既にそうでした。 もっと幼い頃まで辿らないとわからないかも知れませんね」 『そうか。ご苦労だった。レイ、戻ってこい』 「はい、ボス」 レイは再びため息をつくと 車が停めてある場所に歩きだした

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加
広告非表示!エブリスタEXはこちら>>