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「それがなに?そんなものとは比べ物にならないくらいの贅沢をさせてあげたでしょう?海の女…ってあんな地味で目立たない女のこと?あんな奴、海には相応しくないわよ。それに…貴方だって嬉しいでしょう?だってこんなにも極上の身体を抱いて、喜んでたじゃない?!…あたしを、愛してるんでしょう?」
そうよ、最高の贅沢に、極上の身体。
男としての最上級の幸せをあげたのは、あたし。
そんなあたしがなぜ、恨まれなきゃならないの?
「……っだまれ、!」
「……………」
「…この5年間。毎日、地獄だった。死ぬことも許されず、世界一憎い相手に好き放題されて、毎日死にたかった……だけどそんな日々の中、一つの希望が見えたんだ。だから今日まで耐えてこれた。」
「………希望?」
「安西 壱月。あの男が俺に情報をくれた。…お前を破滅に導く手伝いをすれば俺を家族の元へ戻してくれると。」
「…は、そんなわかりきった嘘に…」
「嘘じゃないよ~?ちゃーんといるよ?可愛い子供と奥さんがさ?俺達は嘘はつかないからね?あんたとは違ってさ~?」
安西 翔がヘラりと笑って話す。
「つーかさ、あんたも馬鹿だね?今の堕蛇組にあんたの言いなりはあと、何人残ってるんだろうね~?今までだって、あんたじゃなくてこの男に組の仕事を任せて遊んでたらしいし?…ま、何人か側近が残ってたとしても今頃は警察が入ってるから帰れないだろうけどね~?」
そう言えば最近、組の老いぼれどもが引退がなんだと話していたわね。
鬱陶しいから片っ端から痛めつけてあげたけど。
…なるほど、あたしはまんまと騙されていたってわけね。
そして、この場に味方は誰も居ない、ってことね。
…でもね、あたしもただの馬鹿じゃないのよ?
この世界では、裏切りは付き物。
結局、信じられるのは自分だけ。
ポケットから、黒く光るものを取り出して照準を構える。
狙うのはー…。
「…おい、」
「あら、動くとその可愛い顔に当たちゃうわよ?翼?」
翼の隣にある、窓ガラスへ狙いを定めた。

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