139人が本棚に入れています
本棚に追加
それなら何も自分と、昔から兄のように親しい向じゃなくても良かったんじゃないか。
そう思いながら紬はさっきから痛みはじめたお腹を、向に気付かれないようにテーブルの下で摩った。
「あはは。全く。紬ちゃんは何も分かってないなぁ。
僕、本気なんだけど。」
最初は軽く一笑した向が、途中から顔付きを変え、語尾を強調して紬と目を合わせた。
さすが極道。
今にもその目だけで人が殺せそうだ。
両肘を付いて顎を乗せ、まるで子供を説き伏せるように紬に語りかける。
「ねえ。———僕と結婚しよ?紬ちゃ……」
「それは無理な話だ、向。」
(——————え?)

最初のコメントを投稿しよう!