惚れっぽいんです

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 姉は何をしても優秀だったけれど、少し変わった嗜好がある。  虫と爬虫類をこよなく愛していること。飼うのはもちろんだけれど、中学時代に担任だった理科の先生の影響もあり、研究開発にまで関わるようになった。  手っ取り早く研究に関わりたかった姉は、最初地元にある国立高等専門学校を進路に選んだ。その後、さらに研究を続けるために上京して大学に編入、修士課程を経て4月からは博士課程に在籍する。その姉と同居する条件で、私も春から都内の大学に進学することにした。  私はおもいっきり文系だ。近現代の文学が好きで、小説に出てくる町並みや建造物を巡るのをとっても楽しみにしている。姉の虫好きと大差ないくらいの嵌まりようだ。  そういえば、姉がカマキリを頭に載せているのに気付かず、綺麗なグリーンのヘアピンだと思って触ろうとして悲鳴をあげたことがあった。  いくら好きでも、私は本を頭に載せたりはしないな。  やっぱり姉の沼は広くて深い。 「陽風(はるか)はかわいい。自慢の妹よ?」  虫やトカゲを撫でた手で私の頭を撫でる姉に、最初は「手を洗ってからにして!」と言っていたけど、私以外の人には見せない神々しいくらいの優しい微笑みを見たら、文句を言う気は失せるようになった。  特に、姉が二十歳(私は中2の時)になる年に家を出てしまったから、帰って来たときには嬉しくてたまらなかった。  ここ数年は、ペットだという白ヤモリと一緒に帰ってきて長期滞在していた。  その姉とヤモリと、春から私の新生活が始まる。

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