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陰の怪人
◇
僕が怪人の戦闘員に応募したのは、今週のことだ。
派遣のアルバイト募集を見て、なんとなく応募してみたところ、あっさりと面接が決まった。
「カミヤくんは大学生?」
僕を面接したのは、マネージャーのカワサキさん。三十代の真面目そうな男の人だった。履歴書を見ながら、こめかみを人差し指で搔いている。
「……はい。大学一年です」
「そうか。じゃあ、早速だけど、今度の土曜日、来れる? ちょうど人員が一名足りなくて困ってたんだ」
「え、ああ、でも、僕なんにもわかんないですよ。戦闘員なんてやったことないし……」
「大丈夫大丈夫。とりあえず、人数さえそろえばいいから」
「はあ」
薄暗い室内には、銀色のテーブルと椅子があるのみで、壁はコンクリート打ちっぱなしというなんとも陰鬱な場所だった。
ここは、彼らのアジトだと言っていたが、サイトにその場所が載っていたところを見ると、身分を隠しているわけではないらしい。怪しい雑居ビルの地下に事務所があり、戦闘員たちはここから出勤をしていくのだという。
「だいたいさ、戦闘員なんてのは、みんな同じ黒い全身スーツ着て、黒い覆面マスク付けてるんだから顔もわからないし。一人ぐらい初心者がいてもバレないから安心して」
「……そういうもんなんですか」
「そうそう。まあ、とりあえず、かけ声とポーズ、それだけ覚えて。あとは当日の段取りはメールで送るから。あと、そうだ、スーツ。ちょっと待ってて」
カワサキさんは立ちあがり、奥の棚から紙袋を持ってきた。
「サイズどうかな? Mしかなかったんだけど、どう? 一回着てみてくれない? 更衣室はそこにあるから」
言われるがまま、カーテンで仕切られた更衣室に、紙袋を持って入った。

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