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「……ヒロト、お前すごいやつだな。死んじゃったのは国の損失だよ。マジで」
素直に負けを認めて褒め称えると、ヒロトは面倒くさそうに顔を背けた。だが、口もとはニヤついている。やっぱ良い子なんだよな。清い身だし。
そんなヒロトも、数日後にはやっぱりキラキラ輝きながら成仏した。
四十九日が経つころには、顔見知りはおっさんばかりになっていた。人間、長生きするだけでそれなりに業が深くなるらしい。
「ちーっす、こんちはー」
「おー」
「はよー」
みんな気の良い人たちだが、いかんせん体力の衰えた中年である。パワーの塊みたいな子どもたちから離れた場所で、コツコツおつとめに励んでいる。
おれは石を積むのもだいぶ慣れて、かなり高い塔が作れるようになった。なので空いた時間に、鬼さんの子守を手伝ったりしている。いやー子どもって素晴らしいですね!!! 生きているうちに授かれなかったのが残念だよ。
その日も、一番騒がしい子たちを相手に河原じゅうを走り回った後、誰かが蹴倒したらしい自分の石塔を積みなおしていると、他の亡者さんたちが手伝いに来てくれた。
「いいんすか? ありがとうございます!」
「いやいや、草野ちゃんこそえらいよ」
「っていうか元気。毎日楽しそうだよね」
「だって楽しいっすもん」おれはうなずいた。
「そりゃあ死んだときにはびっくりしたけど、なんか新しいことがはじまったなって気持ちもあって。今も毎日、そんな感じです。明日はどんなめくるめく一日が待ってるんだろうって、ワクワクしながら眠るんすよ」
考えたままを口に出すと、みんな呆れたような顔をした後で「やっぱ草野ちゃんは元気だなあ」と吹き出した。つられて笑いながら、おれは「まあ死んでますけどね!」とツッコミを入れる。
なかなか成仏しないのは、こうやってちゃらんぽらんな暮らしをしているからなのかもしれないな。でも、これがおれなんだから仕方ない。みんなと楽しく過ごすことで、おれという人間の輪郭が確かめられているような気がするんだ。
その後、すっかりあの世に居着いてしまったおれはブッキーさんのスカウトで鬼さんたちの補助員になるのだが、それはまた別の話である。

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