始まり

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二人は立ち止まった。 そこで目にする。 どす黒い物体を。 その〝黒い物体″はベッドで寝ている一馬の上に乗っていた。 その〝黒い物体″は 黒い雲のようで透けてはいない、ブラックホールのような黒く重苦しい空気を漂わせていて、 いてはいけない何かだった。 それは保健室を支配しているかのように空気が重くのしかかる 息が苦しくなっていく‥ そしてその〝黒い物体″は 二人の方を向いた。 正確には向いたなんてわかるはずもないが〝それ″は確かにこっちを〝向いた″と思わせる何があった。 そして呼吸がしずらくなる。 一馬がうめき声をあげる。 二人には全く聞こえていない その物体から無数の手が伸び始めた。 そして無数の手が爪を立て、二人に襲い掛かる。 楽しそうな女の子の声が聞こえてくる。 たまに混ざる男の子の声。 目を開ければ白い壁の真ん中にチカチカ光る何かがあった。 右を向けば一馬が寝ていた。 左を向けば陽大が目を開け白い壁をじっと見ていた。 ここが保健室で 今ベッドの上にいることに気付いた。 -(でも何故?)- しかし答えは見つからなかった。
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