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第一章 運命の愛
僕は道玄坂のラブホテルで彼女を初めて抱いた日に、こうなったのは運命だったと確信した。
その日、僕、大守 一哉は、元カノと初めて体の関係を持った。元カノと付き合っていたのは高校三年、十八歳の時だった。元カノの方から告られて半年付き合った。最後は、元カノから別れを告げられた。
僕は、見た目の良さで若い頃からずっとモテた。その元カノ以外の付き合った彼女たちは全員、僕が別れを切り出して捨てて来た。
たった一人だけ、僕の思い通りにならなかった女。
抱いていなかった女。
真昼間のフリータイム、三時間5200円が『運命の値段』だった。小奇麗だが安っぽい装飾だけが施してあるダブルベッドしかない狭い部屋が、逆に二人の苦しい愛の始まりを示唆しているように僕には感じた。
彼女は専業主婦で小学校低学年の子供が居たから、昼前後の時間までしか逢えない。僕は午後から出社するという事にして時間を捻りだしていた。
僕と彼女が再会したのは2か月前の同窓会だった。
その会場で、昔、僕に冷たく「さよなら」を告げた彼女は、そんな事は無かったように微笑みながら僕に近づいてきた。
「懐かしい。私が同窓会に行こうって決めたのは、大守君に会いたかったからなの……」
彼女は恥ずかしそうに目を潤ませて僕をじっと見つめて来た。

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