第三章 愛の宿命

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第三章 愛の宿命

 誰が一番先に動き出すかと思っていたら、一哉の妻、八重が決断した。そこに行きつくまで、八重は慰謝料を請求しても無視を決め込んでいた華恵に対して裁判まで争った。その法廷で見た華恵という女の姿を見た瞬間に八重の心は決まった。  醜く太った背が小さい女が其処に居た。白い樽にしか見えない身体をしていた。50を過ぎても自分名義の貯金が100万円も無い高卒のパート主婦。  夫の浮気相手の見て分かる愚鈍さは八重のプライドを痛く傷つけた。おまけに法廷が終わった後、建物の外で夫と女が抱き合って泣いているのを見てしまって吐き気がした。  慰謝料を請求しても本当に金がない人間からは取ることが出来ない。それが事実であり、八重には借金をさせてまで取り立てる手順すら、もう面倒臭くなっていた。  これ以上、あの二人と関わっていたら自分のレベルまで下がってしまう気がした。  八重が顔と学歴しか持っていない男に他の物を与えて来た。その事実をこの(バカ)は分かっていない。  八重は夫に対して慰謝料を請求し、夫名義になっている八重の実家の財産を全額回収することに決めた。もちろん、あんなバカとは離婚して会社からも叩き出す。次期社長は自分だ。元々、実務は八重が回していた。  夫を名乗る男は、名刺を持って外回りだけをしていた。その隙間時間に浮気三昧だったのは昔から知っていた。夫と若く綺麗な女との遊びは別に気にもならなかった。  若くも無く頭が悪い女と運命とか真実とか言い出したアタオカは自分の娘の父親でも居て欲しくなかった。 「運命の愛と真実の愛」で仲良く幸せにゴミ同士で暮らせばいい。

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