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私は彼を愛している。
そう高らかに宣言できなくなったのは、いつからだろう。胸の高鳴りと頬の火照り。彼の好きなところに愛の言葉。たしかにあったはずのものが、すぐ思い出せずにいる。愛はなくなってしまったのか。私から熱が冷めていく。「ごめんね」も「ありがとう」も出てこない。私は弱っていた。たまたまその日は仕事を早く切り上げて、電車に乗り込んで……新しくできたショッピングモールを無視できず、足を運んで。そこまではよかったのに。専門店ゾーンの雑貨屋で、楽しそうに談笑する彼らを目撃してしまった。あれは間違いなく彼で、肩を並べていた女性は綺麗な人だった。私が逃げ出したのは、それから間もなくのこと。

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