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本棚に追加コメディ映画はワインと共に
十二月三十日、仕事納めのお祝いと称して同僚と食事をし帰宅した俺に、真依がカードゲームをしようと言った。
「何でまた」
面倒なことを言い出したのだという言葉を飲み込む。余計な一言で喧嘩になりなくない。
「陶子ちゃんとランチした時にもらったの」
「従姉妹の?」
可愛らしく呼んでいる陶子は六十五歳の少しお節介なところがある好人物だ。
「When the cat's away, the mice will play。どういう意味だ?」
紫色の箱にチーズを持ったネズミのイラストが可愛らしい。
「直訳すると猫がいない時、ネズミ達は遊ぶっていう意味らしいわよ」
頭の中に子供の時に好きだったアニメーションが思い浮かんだ。
「外国のゲームか。だけど、なんでこんなものくれたんだ?」
「お孫さん達がもう遊ばないからって置いていったのを物の試しにご主人と遊んでみたら喧嘩になっちゃったんだって」
「はあ?」
「捨てようかと思ったけど、勿体無いからあげるって」
「喧嘩の種をよこしたのかよ」
「美味しいものを食べながらなら喧嘩にもならないでしょって、ワインまでくれたの」
甲州ワインとチーズ盛り合わせが出て来た。ここまでお膳立てされているなら、断る理由もない。
「それならやってみるか」
「じゃあ、決まり。ワイン開けて」
実は少し飲み足りなかったのだとワインを手に取った。
「開けられそう?」
真依はワインの栓を開けるのが苦手らしい。俺もなるべくビビらないように栓を抜いた。ポンと音がして、爽やかなワインの香りが鼻腔をくすぐった。
「私に合わせて甘口にして貰っちゃった」
「デザートみたいでたまにはいいさ」
白のスパークリングワインは喉越しが良く、チーズとサラミの塩気がまた飲むペースを速めた。
「ぼちぼちやってみましょ」
真依がマジシャンのような手つきでカードを切るとテーブルに一つの山を作った。

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