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 突然だった。  一通の年賀状。  明日が仕事始めという、1月4日の日曜日の夕方。  正月休みを故郷で過ごした僕は、一人暮らしのアパートのポストに、それを見つけた。  生まれてこの方、年賀状のやり取りをしたことがない。  ごく親しい人と、LINEで挨拶をするぐらい。  大学を卒業して就職し、初めて迎えた新年。年賀状の来る当てなど、ほぼ無かった。  玄関を入って灯りをつけ、その場にドサッと荷物を置くと、さっそく年賀状の表面を見つめる。 東京都三鷹市✕✕     藤原春彦 様  キレイな整った、女性と思しき文字。  裏返すと、そこに    『東野初美』 という名前が記されていた。住所は書かれていない。 (誰?)  全く心当たりがない。  裏面には、『迎春』の文字に続き、手書きで次のような文章が綴られていた。         ※  突然のご無礼をお許し下さい。  去年の春のあの夜、藤原様が助けてくれなかったら、今の私はありません。  本当にありがとうございました。  迷いましたが、どうしても感謝の気持ちを伝えたくて、一度だけと決め、この年賀状を送ることにしました。  ご返信等、どうぞお気遣いなきよう。 P.S. 大晦日、T寺で偶然藤原様を見かけました。ご住所は、その時の来訪帳で知りました。勝手に拝見したこと、どうかお許し下さい。         ※ (あぁ……)  4日前の大晦日を思い出す。  帰省前、T寺に参拝をした。  最近増えているという、幸先詣(さいさきもうで)。  確かにその時、賽銭箱の横にあった来訪帳に、住所と名前を書いた。  僕の頭の中には、さらに昨春の記憶が甦っていた。

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