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本棚に追加 彼とは、大学卒業までずっと一緒。就職も、都内の同じ会社だった。
そこまではよかったのだけど……。
兆候はあった。
仕事が終わると、別の部署に配属された彼と待ち合わせて、よく夕飯を食べて帰った。
週に1回か2回は居酒屋に寄り、お互いの近況を報告し合ったり、愚痴とかを言い合ったり。
励まし合っていた。少なくとも、私はそう思っていた。
ところが、入社して半年経ったぐらいから、彼は何かと理由を付けて、私との夕飯を避けるようになっていった。
「何かあったの?」
あえてそんな言い方で訊いてみたけど、彼は
「何もないよ。なんで?」
「いや……何となく……」
「ごめん、ちょっと忙しいから」
すぐに去ろうとする彼に、私は笑って冗談ぽく、
「なんか最近、素っ気ないね」
でも彼は、ちらっと私を見て
「気のせいだよ。じゃ」
と言うだけ。
「今夜、話したいことがある」
真面目な声で言ったけど、
「ごめん。今夜は遅くなるから……」
歯切れが悪い返事。
「じゃあ、明日」
「悪い。明日も……」
「明後日は?」
「悪いけど、仕事が立て込んでて、しばらく無理なんだ」
その気がないのがわかった。
そんな折だった。
彼が、部署の先輩の女性と仲がいいという噂を聞いたのは。

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