1

1/1
前へ
 /4ページ
次へ

1

 唐突(とうとつ)に、ユウスケがオカマっぽい声をはりあげた。 「いや~ん、裕人(ひろと)くんたらぁ~。うら、困っちゃう~」  両手を胸の前でにぎりしめ、腰をくねくねとふる。「でもォ、うらの処女はァ、裕人(ひろと)くんのものだからねェ~」  首をかたむけ、上目づかいに、媚(こ)びを売るまねをする。  そこまでだった。  自分でもおかしくてたまらなくなったのだろう、ギャハハハハ、と盛大に吹き出してしまった。  そばに立つリョウとマモルも、つられて笑った。  笑わないのはひとりだけ。三人に囲まれて、床に転がされた少女――軽見(かるみ)うら、だけだ。筧(かけい)高校の制服である地味な紺色のブレザーとスカートをはいている。白いブラウスの襟元(えりもと)には、えんじ色のリボンタイ。両足には白いソックス。でも、黒いローファーをはいているのは右足だけ。左足のほうは脱げて、近くの床に転がっている。  うらは、にらみつけるようにリョウを見上げている。なにも言わない。いや、言えない。彼女の口にはさるぐつわが嚙(か)まされているからだ。さらに、両手はうしろにまわされ、両方の手首が、インシュロックタイで固定されていた。  ここは筧町(かけいちょう)の町はずれにある、古い廃工場の中だった。教室を三つ繋(つな)いだほどの空間が広がっている。室内には、隅にほこりをかぶった大型の機械が三台残されているだけで、あとはがらんとしている。窓には見通しのきかない模様入りのガラスが入っており、そこから、夕方近くの弱い光が入って、部屋のなかはたそがれどきのように薄暗かった。 「へえ、うらちゃん、意外に落ちついているじゃん」  うらを見おろして、リョウが言う。彼も、そのほかのふたりも、筧高校の男子の制服である、紺色のブレザーとズボンをはいている。白いワイシャツの襟元から下げているのは、えんじ色のネクタイだ。  リョウが続ける。 「もしかすると、日下部(くさかべ)裕人(ひろと)くんが助けに来てくれる、って期待しているのかな?」  リョウは侮蔑(ぶべつ)するような笑いをうらに投げかけ、手を顔の前でひらひらと横にふった。 「いやあ、来ない来ない。日下部裕人くんが待っている、ってのは、まっ赤な嘘。残念だったねえ。うらちゃんが片想いの裕人くんは、いまごろ、両想いの松本(まつもと)レナちゃんといっしょに、下校しているんじゃないかなあ。あっ、もしかして、ふたりでラブホにしけこんで、チチクリあっているかもね」  リョウが下品に笑った。つられるように、ユウスケも、マモルも笑った。 「というわけで、今日はおれたちが相手してやるからさ。うらちゃんは処女かなあ? ん? 男は初めて?」  うらはリョウをにらむばかりで、反応を返そうとしない。 「そっか。否定しないところを見ると、やっぱ処女なんだろうな。じゃあ、おれたち三人で、初めてのチンコを味あわせてやるよ。楽しみだろ、え?」  そう言って唇をゆがめ、へっへっへっ、と笑った。

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加
広告非表示!エブリスタEXはこちら>>