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「そこで皆さんに集まっていただいたわけです。わが国最高といわれる、医師や科学者、各分野のスペシャリストの皆さんに」
そのとき初めて、白衣集団の中の一人が口を開いた。
「俺たちに何をさせるつもりだ?」
プライドの高そうな黒い瞳がスーツ姿の男を捕らえる。男はそんな視線をものともしない様子で答えた。
「『A study team of special medical institution』。日本語に訳すと『特別医療機関研究チーム』ですが、皆さんにこの役職を与えます。そうですね、名称も長いことですし、ASTOSMIとでも呼ぶことにしましょう」
「あすとすみー? で? 俺たちはそこで何をすればいいんだ」
「端的に言えば、『抑うつ状態を治す研究をしろ』、ということですかね」
白衣の男はテーブルに頬杖をついてスクリーンを眺めた。
「人体実験は可?」
「もちろんです。ラットはこちらで用意しましょう」
「よし、のった」
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