時の流れ

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時の流れ

「フィオナ様、おはようございます。ん? どうされました?」 朝になり、着替えてダイニングルームに現れたフィオナに、ローラが首をひねる。 フィオナは今にも泣き出しそうな表情を浮かべていた。 「怖い夢でも見ました?」 「違うの。ルシアス様が、いらっしゃらなくて……」 「ええ、夜明け前にユーリ達と出発されましたから。フィオナ様、もうお寂しいのですね」 「だって私、きちんとお見送りもせずに……。ルシアス様が出て行かれたことにも気づかないなんて」 そう言ってうつむくフィオナに、ローラは食器を並べる手を止めて近づいた。 「フィオナ様。ルシアス様はきっと、フィオナ様を起こしたくなかったのですわ。別れが辛くならないようにと。そっとフィオナ様を見つめて、心穏やかに出発なさったのだと思います」 「そんな。それでは私は、なんの務めも果たさなかったことになるわ。ご無事でと声をかけることもせずに、眠っていたなんて」 「ルシアス様がそれを望まれたのだと思いますよ。でも、そうですね。それではお帰りを待つ間、できることをやりましょうか」 フィオナはハッと顔を上げる。 「私にできることはあるの?」 「ええ、もちろん。まずはしっかり朝食を食べてください。それから、私と一緒に政治のことを勉強しましょう。あとは、いつかルシアス様と舞踏会に行かれる時の為にダンスの練習と、ドレスやアクセサリーを選んだり。諸外国の言葉も、調べてみませんか? 簡単な会話ができるように」 「ええ、やるわ! 毎日全部やるわ。よろしくね、ローラ」 一気に明るい表情になったフィオナに、ローラも「はい、かしこまりました」と笑った。

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