奏翔、中学二年 美思、中学一年
「副会長、噂……知ってる?」
そう声をかけてきたのは同級生で、生徒会書記の智成だった
「……噂、なんの?」
「一年女子でヤバい子がいるとか」
智成は、割とチャラい。
だけど、俺と同じで真面目だと先生から思われているが、小学生の時から彼女持ちだ
そんな智成が言うヤバい子とは……
「なんか簡単らしい」
言ってる意味がわからない
「主語を抜くなよ。何がどう簡単なんだよ?」
智成が、キョロキョロと周りを見回した
近くに人が居ない事を確認してから、耳打ちしてきた
「身体を触らせてくれるらしい」
「は?女がか?」
「あと、すごいのが三年の先輩がやったとも……まぁ、それは流石に盛った話だと思うけどなー」
「一年生だろ?アイツらなんてこの前まで小学生のガキじゃねぇか。アホみたいな話信じてんなよ」俺は笑い飛ばした後で真面目な顔になって
「てか、お前早く議事録を打ち込めよ」
「あ!!やべっそうだった」
智成は急いでPCを立ち上げると、他の誰にも読解できない汚い字で走り書きされたメモを見ながらキーボードをたたき出した
そんな、突飛な噂が問題になったら
生徒会も関わらなきゃなのかな……めんどくせぇな
この時の俺はそう思っていた
だけど、それが
単なる尾ひれのついた噂なんてもんじゃなく
広まったのが、ほんの一部の事実で
その一年女子が美思であった事は
生徒の間で公然の秘密になっていた
……幸いだった
俺は、誰にも美思が従兄弟でウチの居候だとは、バラしていなかった
後日、その噂の詳しい内容を耳にした夜、俺は美思の部屋へ行った
「おい、美思。お前……身体を触らせてたりとか……その、……させたりとか……マジなのか?」
「え?……ああ。うん」
美思はなんら取り繕う事もなく、素直にそう返事をした
「は?なに考えてんだよ!?」
思わず大きな声が出てしまった
目の前の美思を見て、こいつが男に背後から身体をまさぐられてる
そんな想像をして、俺はそんな自分の妄想に苛立った
「お前、俺んち住んでるとか、親戚とか絶対誰にも言うなよ!!あと、今後そういう事すんじゃねぇよ!」
俺たちの学校は、通学圏内の端の方で
同じ学校の生徒は近所には住んでなかった
だけど、もしかしたらいつかはバレるかもしれない
俺は受験を有利にするために、その秋の生徒会選挙で会長に立候補するつもりでいた
それだけの為に一年生から副会長も勤めていた
同じ家にそんな女が住んでるとかバレたら……
順風だった俺の学校での立場が崩れていく不安で俺は美思がやらかした事を許せなかった
この家で、父さん達の前で、
俺は美思に親切に振る舞っていたが
この日を境に俺は美思をそういう存在だと見るようになっていった
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