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本棚に追加11.その小石をもう一度
数日後、その池で諒の遺体が発見された。大学のキャンパスでは一時的に話題になったが、葬儀から三日も経てば、諒の話題を口にする者はいなくなった。大学生による理由のわからない自殺など、たまに耳にするありふれた話だからだ。
きっと何か理由があって、絶望を抱えて発作的に池に飛び込んでしまったのだろう。その程度の話でしかなかった。
そんなキャンパスで、祐樹だけは諒のことを考えていた。学生たちは何事もなかったかのように話を続け、そして笑い合う声の響く、いつもと変わりない風景を見つめながら。
「人は誰しもコンプレックスを抱えている。諒の場合は、その醜い顔だった。そのせいで諒の心は冷たくて固い小石となっていたのだろう。その小石をもう一度、人間の心に戻すにはどうすれば良かったのか、僕にはわからなかった。きっと、これから先もわからないままだろう」
祐樹はそう考えるしかなかった。深い孤独の中で。

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