吊り橋の景色

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 旅先で古めかしい吊り橋を通ったのだが、その中程で、身を乗り出すように下を眺めている数人組を見かけた。 「お兄さん、観光の人? ここの橋は、この場所から身を乗り出すように下を眺めるのが、一番の絶景ポイントなんだよ」  俺に気づいた一人が、気さくにそう声をかけてくる。その軽い調子に、だったら俺もと身を乗り出しかけた時、遠くから叫び声がした。 「あんた、何やってんだ! そんなに身を乗り出したら、風が吹いただけで落下するぞ!」  地元の人らしき男性が、そう声を上げながら駆け寄って来る。その人に、今聞いたばかりの景色の見方だと説明しようとしたのだが、周りに、さっきいた筈の集団がいないことに気づいた。  一応、先刻あったことを全部話すと、男性は顔を曇らせ、ここは自殺や事故も多い場所だから気をつけなさいとだけ言って去って行った。  どうやら俺に声をかけてきたのは、ここから落ちて亡くなった人達のようだ。  確かにいい景色だけれど、もうそれを堪能する気持ちは湧かず、俺も早々に吊り橋を後にした。 吊り橋の景色…完

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