ダリルの悪魔×第一幕

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「………誰?」 ドアの向こうから顔を出したのは小さな少年だった。 警戒しているのか彼なりに睨みつけている。 が、やはり少年の身長。 架夜達を睨むには自然と見上げる形になる。 その結果、睨むというより上目遣いで何か欲しいものをねだるような表情になってしまっている。 架夜が声を掛けようとした時、唐突に少年が呟いた。 「…叩き壊すの……?」 「…………………。」 しばしの沈黙。 どうやら架夜の暴言はちゃんと教会の中まで届いていたらしい。 「…嫌ですね、そんなことしませんよ。」 架夜が今更ながらに笑顔を作り否定するが少年は疑いの眼差しを向けたままである。 零が小さな溜息を吐き、この状態を打破する方法を考える。 少年の疑惑の眼差しが正直痛い。 「すみませんねー。怖いお兄ちゃんで。」 「Σ…ってお前だろ!?」 架夜の予想外の責任転嫁に零がずびしっと突っ込む。 さすがの少年もたじろいだ。 その隙を架夜が見落とすはずが無い。 「僕達吸血鬼退治に来たんですけど、話を聞かせてくれますか?」 架夜がしゃがんで少年と同じ視線になる。 「……………。」 少年はまだいまいち釈然としないような表情で架夜達を教会へと招き入れた。 「………詐欺の素質あるよな…。」 「おや、僕は嘘を吐いたりしませんよ?」 教会へ足を踏み入れながら少年には聞こえない声で会話をする。 無論零が架夜に口で勝ったことなどない。 「…大人はいねぇのか?」 零が軽く内部を見渡して少年に問い掛ける。 「神父様、体調悪くて寝てる。」 「だから君が留守番を?」 「……………。」 架夜の問いにこくこくと頷いて少年が奥へと歩きだす。 少し歩いてはちらりと架夜達を見る。 その様子に架夜と零は顔を見合わせて軽く笑い、少年の後を付いていった。 簡素な寝室。 そこに神父は横になっていた。 かなり高齢である。 豊かにたくわえられた白い髭のおかげで優しそうな顔がより一層優しそうに見える。 神父は架夜達を見るなりゆっくりと起き上がりはじめた。 少年もそれを手伝う。 「気を遣わないでください。体調が悪いのでしたらどうぞ横に…。」 「いやいや、せっかくの客人だ。」 声も優しさに溢れている。 「さて、なんのご用かな?」 image=37489820.jpgimage=37490087.jpg
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