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神父の声に促され、架夜が神父へと問い掛ける。
「僕達尋ねたいことがありまして…。最近此処ダリルで吸血鬼騒動がありましたよね?」
「いかにも。町の者で六名、退治に来た『意志ある者』が四名…。」
『意志ある者』
それは、魔法では歯が立たない吸血鬼を退治すべく自らの意志で立ち上がった者。
だが、近年では吸血鬼に賞金がかかっており、金目的が主な理由。
大抵は何人かでチームを組んでおり、主要な町には『意志ある者』同士の情報交換の場であるギルドが設けられている。
「何か特徴はねぇのか?」
「月が出る夜に吸血鬼は人を喰らう。」
零の問いに神父が白い髭を触りながら答える。
どこか遠くを見る目は今までの犠牲者を見ているようだった。
「………そうですか。わかりました、ありがとうございます。」
架夜が神父に軽く頭を下げる。
零はというとぼんやりとしており、直立不動の体勢だ。
「………。」
零の態度に苛立った架夜が思い切り零の足を踏み付ける。
「Σ………っ…!!?」
「どうかしたかい?」
零の声にならない叫びに神父が問い掛けるが、零はふるふると首を振るだけである。
「なんでもありません。気にしないでください。」
それをフォローするかのように架夜がにっこりと神父に微笑む。
少し半泣きの零と胡散臭い笑みを浮かべる架夜。
少年はこの二人も吸血鬼の餌食になるのではないかと心の底から思った。
結局、架夜達は夜がくるまで教会で世話になることにした。
…といっても日が暮れればいつ吸血鬼が動きだしても不思議では無いので三時間程度なのだが。
「すみません、体調も良くないのに…。」
「いやいや。吸血鬼には手を焼いてますからな。」
「ちゃんと退治するから任せとけって。」
へらっと笑いながら零が煙草を手に取る。
「馬鹿、此処で吸う気じゃないでしょうね?」
それとほぼ同時に架夜がぎろりと睨む。
「…えーと、外に行ってきます。」
視線を泳がせながら零が足早に外を目指す。
その様子に架夜は深い溜息を吐いた。
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