一話

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一話

「……ゲームオーバーじゃん……」  頭の上に雷が落ちたかの様な衝撃だった。  高校二年最後の期末試験結果が配られて、教室全体がざわついている。それでも、こんなにショックを受けているのは俺だけじゃないだろうか。  俺の机の上には、全教科に「一位」が並ぶ紙切れが一枚と、「二位」が並ぶ紙切れが一枚。  二位の紙には「的場天(まとばそら)」と俺の名前が書いてある。  そして、一位の紙には「茶原秀馬(ちゃはらしゅうま)」。  机の前に涼しい顔をして立ってる美形の名前だ。  何度見ても、ひっくり返しても、それは変わらない。一位と二位の名前は逆にならない。  つまり、紛れもない現実だった。 「ゲームオーバーじゃない。ゲームクリアだ」  別のクラスからわざわざ紙切れを見せにきた茶原は、はっきりと勝利宣言をしてきた。 「約束、守れよ」 「……約束……」  俺は片手の甲を唇に当てて単語を繰り返す。  そう、約束。  何も俺は、一位じゃなかったことにショックを受けてるわけじゃない。そんなことは高校二年ともなれば何回もあったし、一位に固執していたわけでもない。  ただ、こいつにだけは。茶原にだけは負けるわけにはいかなかったんだ。 「俺の恋人になってくれ」  ああ、なんて浅はかな約束をしてしまったんだろう。  子どもの口約束に時効ってものはないものか。  小学生の頃の自分を呪いながら、俺は頷くことも首を振ることも出来ずに数字が並ぶ紙切れを見つめた。  俺と茶原は小学校からの同級生だった。  幼なじみかっていうと、少し違うと思う。  いつも一緒に遊ぶとか、家がすごく近いとか、親が仲がいいとか、そんなことは全くない。  同じ小学校で、同じ中学で、同じ高校に通っているだけの「同級生」だ。馴染んでない。  でも何故か、俺はこいつに告白されたことがある。

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