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本棚に追加 都会の街にある小さな神社。ちょっと神社と言うには忍びないくらいのもので、ビルの狭間に心ばかりの木と、数段の階段の上に小さなお社があるくらい。
それでも私はこの場所が好きだったからいつもこの場所を訪れていた。
落ち込んだ時も嬉しかった時も、この場所には様々な思いでがある。職場でいやなことがあっときにこの階段に座って泣いた。
嬉しくて仕方なかった時に賽銭箱にお札を入れたこともあった。
ありとあらゆることが詰まっていて、今は職場も遠くなって全然この辺りには用事はないのに、時折訪れている。そのくらい私には特別なところだ。
そこに今日私は座っている。嬉しいことがあったわけじゃない。その反対だ。
喧嘩をしてしまった。
去年結婚した相手との喧嘩。これまで意見が違うことがなかったので、ちょっとしたことで言い合いになって私は家を飛び出した。
そしてこの場所にいる。
「これからどうしよう」
つぶやきを聞いてくれる人はいない。街は忙しく、仕事に励んでいる人たちが神社の前を歩いているが、こんな私を気にする人もいない。
もともとこの神社に用事のある人なんていない。この神社はこの街から無視されている存在だった。
でも、私はこの神社が好きだ。まだこの街で働き始めたころ、ふとこの神社を見つけた。
古ぼけた寂しい雰囲気しかないところだったけど、理由のわからない懐かしさがあって、私はこの場所で時折休憩をとったりしたのちに、この場所を再々訪れるようになっていた。
思えば今の旦那さんと付き合ったときやプロポーズされたときには、一番にこの神社に報告した思い出がある。そう思い返してみると、この神社は辛いときにも訪れていたが、楽しい思い出が多かった。

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