一瞬で変わる僕らの世界

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一瞬で変わる僕らの世界

1 一瞬で変わる僕らの世界 春一番の風が、いつもより狂ったように吹いていた。 いつも通りの帰り道、コンビニでアイスを買って食べながら歩く。 少し先では、直人がどうでもいい話をしながら、笑っていた。 そんななんの変哲もない穏やかな日常が訪れているはずだった。 あの事があるまではーー。 風にあおられた視界を、文字の書かれた紙のような何かが覆う。 次の瞬間、車のクラクションが耳をつんざいた。 (やばい) そう思った時にはもう遅い。 体が動かない…。 やけに長く感じる数秒。 追い打ちのように、もう一度クラクションが鳴る。  ーードン。 激しい衝突音。 その衝撃で、正樹の体はゆっくりと宙に舞った。 次の瞬間、世界から音が消えた。 痛みがあったはずなのに、それすら遠のいていく。 視界が歪み、空と地面の境界が分からなくなる。 手からさっきまで持っていたアイスが離れていくのが見えた。 白い塊が、ゆっくりと回転しながら、どこかへ落ちていく。 (あぁ、もったいないな) そんな場違いな事を、ぼんやりと思った。 風の音も、クラクションももう聞こえない。 ただ何かが遠ざかっていく感覚だけが残る。 暗い。 (これから、どうなるんだろう) 形を保てないまま、意識が溶けていく。 そしてーー完全な暗闇が、すべてをつつみ込んだ。

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