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一瞬で変わる僕らの世界
春一番の風が、いつもより狂ったように吹いていた。
いつも通りの帰り道、コンビニでアイスを買って食べながら歩く。
少し先では、直人がどうでもいい話をしながら、笑っていた。
そんななんの変哲もない穏やかな日常が訪れているはずだった。
あの事があるまではーー。
風にあおられた視界を、文字の書かれた紙のような何かが覆う。
次の瞬間、車のクラクションが耳をつんざいた。
(やばい)
そう思った時にはもう遅い。
体が動かない…。
やけに長く感じる数秒。
追い打ちのように、もう一度クラクションが鳴る。
ーードン。
激しい衝突音。
その衝撃で、正樹の体はゆっくりと宙に舞った。
次の瞬間、世界から音が消えた。
痛みがあったはずなのに、それすら遠のいていく。
視界が歪み、空と地面の境界が分からなくなる。
手からさっきまで持っていたアイスが離れていくのが見えた。
白い塊が、ゆっくりと回転しながら、どこかへ落ちていく。
(あぁ、もったいないな)
そんな場違いな事を、ぼんやりと思った。
風の音も、クラクションももう聞こえない。
ただ何かが遠ざかっていく感覚だけが残る。
暗い。
(これから、どうなるんだろう)
形を保てないまま、意識が溶けていく。
そしてーー完全な暗闇が、すべてをつつみ込んだ。

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